[ふたり包まった毛布のなか、蠍の鼓動を聞く。>>275
体温を持たぬ木枝は静かに脈を打ち、分かち合った熱が身体を循環する。
その手があたしに触れなくても、あたたまる術をあたしたちは知っていた。
あたしは眠たげな瞼をゆっくりと持ち上げて、せんせいが指差す先を見上げる。>>276
こてんと胸に頭を預けたのは、人差し指と視線を重ねるための口実]
お星さまの景色も、がっこうとちがうの。
お日さまもお月さまも、あたしたちとくっついて歩いてくれていたのに。
お星さまは、歩いてくれないのね。
[せんせいのふるさとのお星さまは、がっこうで見たお星さまとは違うかおをしていた。
みんなで星空を見上げて、お星さまを線で繋いで遊んだこと。
出来上がった絵にはしゃいで、次の晩も、その次の晩もちがう絵を作って、
だけど、あのとき出来上がった線はもう、思い出せなくなっていた。>>277]
(312) iori427 2016/10/22(Sat) 01時頃