― それから ―
[せんせいとあたしは、聖誕祭の人混みの中、隅っこを縫うようにして歩いて行く。
あたしはあたしの欲しいものを探そうとしても、うろうろと視線が落ち着かないばかりで一向に決まりそうになかった。
そんな中で見つけた真っ赤なキャンドルは、無事にせんせいに買ってもらえたことだろう。
夕方頃にもなると、慣れない人混みに疲労した少女は休憩を申し出て、そのまま街の宿にて一晩をすごそう。って言ったら、せんせいは付き合ってくれたかな。
初めて、がっこうの外で過ごす夜。
ベッドにころがって、せんせいとふたり、ねむたくなるまでおはなしして過ごしたの。
枕元には、聖誕祭で勝ってもらったおおきなキャンドルを燃やしておこう。
小さな炎に溶けた真っ赤な蝋が垂れて、固まって。
あたしが先に眠っちゃったら、せんせいが火を消してくれたかな。
あたしはせんせいの隣にまるくなって、ぴったりと寄り添って眠りたかったけれど。
きっと、せんせいなら付き合ってくれたんじゃないかな、って、おもう。*]
(312) 2016/10/17(Mon) 21時頃