[放送の、成果はあったのだろうか。
けれどこうして一人とは会えた。それがひとつの心の支えとなった。
>>298その場の面々に問いかけられる言葉。車の運転なんて出来ない彼は反応を確かめるように、顔を見る。>>299さらに言葉を聞きながら、迷うように視線を腕の中の猫に落とす。
ポケットに入れっぱなしだった車の鍵、一部血が付着して赤黒い。それを渡しながら]
センセ、センセイの車に乗っていい?
運転できないし、それに。
[唇を開いて、閉じた。]
人がいなかった屋敷なら、なんにも備蓄なさそ、ですよね。途中でスーパーとか、よって行きましょ。
誰か生きてる人と会えれば、情報収集も出来るし。
[そこまで言って、ね、荷物運びがいるでしょ?と首を傾げる。
他に同乗するものがいるなら、座席の配置はどうだったろうか。助手席に乗ることは教師は断固として反対しそうだ。そんなことを考えたからか、乗り込むのは後部座席。猫を膝の上に乗せ、右手は鞄の中を探る。
鉛筆を削るための、カッターナイフ。明らかにリーチの短いそれで、止めを刺すのだとしたら、どうすればいいのだろう。脳裏に赤い眼窩の怪物、舌の短い口内が浮かんで、唇をかみしめた。]
(309) 2011/12/04(Sun) 03時半頃