なら……ああ、そう言うこと、だったのね。
あんな内部に、あの《白銀の翅》が用もなく入り込むなんて、可笑しいと思っていたもの。
…………なにも貴方が無茶しなくても、手を組んでいたなら、《白銀の翅》の方に子供の救助を頼めば良かったのに。
[たて続いた襲撃は、少女の中で安易に結び付く。
本当に手を組んでいたなら、あの時点で《白銀の翅》に攻撃されていた可能性もあるというのに。
視界が薄く霞み、涙腺に熱が点る。
……けれども。ならば軍属として、やるべき事は一つ。]
…………ヘクターさん、気を付けてください。
どうやらあの人は、先刻教団に侵入した不穏分子の一人のようです。危害が貴方に及ばないよう、私が食い止めますから…………!
[《一般人》を巻き込んだ不甲斐なさに瞳は揺れ、前を開けた外套から、白銀の杖を取り出し構える。
はためく衣の合間に覗く、十字軍の軍服。
目の前の男もまた、教団と一悶着起こした存在であるなどとは、知らぬまま。]
(309) 2014/08/17(Sun) 16時頃