[食堂へ向かう者を見送った後、来夏が黒板に何事かを書き始める。>>306
ああ、やっぱり来夏ちゃんは、字が綺麗。
そんな感想も、書かれた文字の意味を理解した瞬間に掻き消えた。]
──えっ……?
[呆けたような声と共に、大げさなぐらいに肩がびくりと揺れる。慌てて口を抑えた。
思い出すのは、さっきも頭を過った1冊の本だ。>>183
確かに、いくつかの可能性を考える中で、頭に浮かびはした。
だけど、来夏たちまでその可能性を考えているとは思わなかった。]
……ど、どうして……?
[要領を得ない疑問の言葉が、唇から零れ落ちる。
どうして、そう思うの。視線だけで来夏に問えば、彼女はもう少し詳しい説明をくれただろうか。
"この物語は、現実に起きた事件をモチーフに"──
ああ、机の上で握った手は、少しだけ震えていたかもしれない*]
(307) 2015/07/07(Tue) 21時頃