[暖かいバスの空気に慣れた身体が寒いと悲鳴をあげている。いそいそとブルゾンを羽織って、ムートンマフラーを巻きなおす。
男は、足首が見える丈のクロップドパンツを履いてきたことを少し後悔していた。
そんな余計なことを考えていたためか、場の話題に乗り遅れる。8人部屋と2人部屋。どちらでも男は構わなかったけれど―――。]
…よ、サミュエル。
相変わらずあったかそうな格好してるなぁ。
[小さなつぶやき>>303を耳にして。寒さが苦手な彼らしく、万全な防寒対策をしているその姿を見つけて、からりと声をかけた。
声が届かず、先程は失敗したそれ。同好会のメンバーは皆好ましいと思っているが、年長組の男に年若い彼らが可愛く映ってしまうのは言ってしまえば当然のこと。
周囲から違和感を感じさせない気軽さを以てして、バス内での心情など露ほども見せずに男は笑う。]
(307) 2015/11/12(Thu) 00時半頃