──回想:文化祭実行委員になった理由──
[クラスの文化祭会議。
しずくの提案への反対意見を圧する朱美や桂一の声、中心で意見をまとめ上げようとする徹の声。
それらをBGMに、頬杖をつきながら、騒めく教室内をぼんやり眺めていたから、黒板前に立っていた織部那由多が動いたことにはすぐに気づいた。>>293
何をするんだろう、と目で追いかけていたら、先ほど反対意見をあげていた生徒たちと、何事かを話している。
ややあって、彼らは顔を見合わせて個々の席へと戻ってゆく。
その時、那由多が何をどう彼らに話したのかは知らない。
知らなかったけれど、もう一度、徹や、今はしずくを慰めている朱美に視線を戻す。決定した役職と、それを担当する者の名前が並んだ黒板を見る。
いいなぁ、と思った。
いいなぁ。
ああそうだ、彼らのいるあの場所に、いってみよう。
きっかけは、たったそれだけ。]
(306) 2015/06/19(Fri) 10時半頃