[ 負けたらまたあの快楽を味わえる。それは甘い誘惑のようで、仇の精液で満たされたばかりのそこがまたじんと期待で疼いた。殺せるビジョンも浮かんでこなかった。 抱く悦びも抱かれる悦びも知ってしまった身体は、きっと元には戻らない。]………………。違うっ、違う!![ 復讐の刃を共に磨き続けてきた薙刀にすがりつくようにして否定する。 直円に次挑むときも、殺す以外に理由はない。決して抱かれに行くためではない。 快楽は魔だ。それは罪悪だ。 亀吉を支えてきた細い一本の糸が切れかかっていた。]
(302) ひひる 2016/06/22(Wed) 03時半頃