― 昇降口 ―
[おしゃべりをしながら、いとちゃんを待ちます。
葵のような年頃のことを、お箸が転げてもおかしい年頃と言うそうです。何気ないおしゃべりは尽きず、押しては引いていく波のように笑いが起こります。
レジャープールの話題にもなりました]
あっ、そこな! こなっちゃんと行く約束してん?
一緒に行く?
[そんなお誘いをしてみましたが、反応はどうだったでしょう。
晶ちゃんと樫木君が発案者という計画>>237については聞けたでしょうか。教えてもらえたなら、一も二もなく大賛成です。
転校の話題は葵からは出しませんでした。せっかく楽しいこの空気に、これからあんみつを食べに行くというのに、水を差すようなことをしたくなかったのです。
それに、葵は単純ですが、そんなに馬鹿でもないのです。
気づいていました。あの時、密やかに問いかけた質問に、答えてもらえなかったことは]
(299) 2016/08/20(Sat) 22時頃