―Xday-3day・PM2:30頃・現実世界、病室―
私は……、自慢出来るものがないから。
[苦笑。 負ばかりを持ち合わせる自分にそんなものなかった。
両親にずっと迷惑かけてばかり。 治るモノだと思って入院して医療費を費やして貰ったのにも関わらず、死ぬのだ。 誇れるものなど、ありゃしない。
打ち明けるのが突然過ぎて申し訳なかったなと思いつつ、彼の顔を覆う手に自分の片手を伸ばし、重ねた。]
言われても困るよね。 ごめんね。
でも突然私が消えたら驚くでしょ? その方が嫌だから。
[笑う。 安心させる様に。 怖くなんかないよ伝える様に。
一緒に行こうと言われ、こくり、頷く。 悪夢だって見たくなんかはないけど、死ぬ事よりは数十倍もマシなハズ。
残りの時間を大切に思いすぎていた様。 気が変わった。]
……私は独りじゃないなら、 行くよ。
[小さく弱々しい声で、しかし何処か強い言葉を放った。
死んだら独り。 死ぬ前も独りは、 御免だから。]
(296) 2014/03/13(Thu) 23時半頃