ーーー晩ごはんーーー
[テーブルの上に、真ん中に白い薔薇、食事のメインはウサギ肉のソテー。スープはトマトを煮込んだ。後はサラダとパンと赤ワイン。
ケーキを誕生日に食べる習慣はこの国には無い。
レオナルドのグラスに赤ワインを注ぐメルヤ]
今日は良い日ですね。
[それだけ言って黙々と食事を進める。いつもなら、なにかしら話題を探して話すのに。ゆっくり話せる時間は食事の時だけだから。
メルヤは自分の誕生日を特別視していない。出逢った頃にレオナルドに聞かれたから何気なく答えただけで。この五年、レオナルドは研究室に籠もりきりで無い時には、積極的にメルヤの誕生日を祝ってくれた。
レオナルドは意図的に自分の誕生日を忘れているようではあるが、自分の年齢は覚えているようだ。時々、増えた年齢と衰えた身体を嘆く言葉を呟いているので間違いない]
(296) 2018/06/12(Tue) 17時頃