【人】 鳥使い フィリップ

―近い未来―

[ふい、と参考書に向き直ったけれど、後ろの存在が気になるが故に内容は頭には入っていない。
後ろ髪に触れる男の手が、こそばゆい。>>292
けれど、意地でもそんな様子は見せずに参考書に集中しているふりを続けていたが、いつもとは違う情けない声に、ちらりと後ろを振り返り、]

　胸に手を当てて良く考えてみたら？

[それだけ言い置くと、再び前に向き直る。
すこしだけ、遣り込めたことに小さな優越感が生まれ、口元に笑みを刻んだが、気付かれただろうか。
万が一彼が正解を導けたのなら、今日は一旦勉強をやめにしようか。
そんな事を考えながら、くるりと手に持ったペンを回した。*]

(293) ハチドリ 2014/02/11(Tue) 03時半頃