じゃあ、明日な。
[そう約束して別れた後は、自分の安アパートへ戻り早々にベッドに潜り込む。
強制的に眠りに付かされた男の眼帯から、ずるりとクモヒトデの様な物体が這いずり出て来た。
掌位の大きさで、無数の触手で這い回る。その中央には1つ目が付いていてぎょろぎょろと辺りを見回しながら部屋から抜け出して行った。
発汗した女の体臭を探り、ローズマリーの部屋へと潜り込んだ。
触手は潜り込んだ後、立ち話の時と同じように香を密閉された部屋に満たす。
香はねっとりとローズマリーの肢体に絡み、目や耳や鼻、肌を侵す。
香が満ちた事を確認すると、触手はローズマリーの顔にまで這い上がり、1つ目で女を睨む。
それに反応するように、香が幻を部屋に生み出す。
自ら足を、秘所を広げて化けモノの男根や触手を悦んで受け入れる姉の姿を。
それが幻か、過去にあったものを再現したのかは判らない。
だが姉の声も姿も全て、記憶の中の姉とは違わぬものだった]
(293) 2011/10/09(Sun) 20時頃