―厨房前→廊下―
[どのくらいの間、そうしていただろう。しばらくは、まるで自分の中から全てが消えうせてしまったように感じ、何も考えることが出来なかったように思う。]
[火傷と血でボロボロになった体を起こし、ふらりとよろめきながら立ち上がる。
涙で滲んだ空ろな瞳をホレーショーに向け、深く、深く礼をする。それは、大切な人の最期を押し付けてしまった謝罪か、それとも、彼女の最期の願いを叶えてくれたことに対する感謝か。…にもそれは分かって居ない。]
[視線が扉へ向くと、そちらへ歩いていく。最初はとぼとぼと、やがて駆けるように。]
[今更、追いすがろうなんて考えてはいない。
ただ、これ以上この場に留まる事は出来なかった。無理矢理に押さえつけられでもしなければ、…はそのまま、自室へと駆け出すだろう。
たとえその道の途中で誰に会おうと、どう声をかけられようと、ぶつかろうとも、脇目も振らず、自室まで。]
(290) 2014/11/14(Fri) 22時半頃