[結局他に主演を希望する生徒もいなかったという事で、ストレートに主演は…に決まった。その何日か後に渡された脚本は、学生が書いたにしろ意外としっかりしていて、こりゃ、やりがいがあるなと気分が弾んだ。
ぺらぺらとページを捲って、一通り読んだ後に、口に出してセリフを読み上げる。瞬間記憶力、という程ではないけれど、…は台本のセリフを覚えるのがとても速い。幼少時から、それが自慢だった。
台本を片手に持って、舞台上であることを加味し、少し大げさな手振りでセリフを読み上げる]
「探偵ごっこじゃない!先生、あいつは、俺たちの親友だったんだ。
喧嘩だってしたけれど、それでも、俺はあいつを殺した奴を許せない!
なあ先生、どうしてあいつが殺されたんだよ。
そこに、理由はあったのか?なぁ、先生……」
[主人公である男子学生が、探偵ごっこはやめろと言った教師に詰め寄るシーン>>240。悔しさと、もどかしさと、若者らしい無鉄砲な瑞々しさ。歯を食いしばり、怒りを抑えながら、…は架空の教師に詰め寄る]
(287) 2015/07/05(Sun) 22時頃