― 森の王が双子王の祖と呼ばれていた頃 ―
[それは悠久の刻を遡り、まだ森の王が根源たる双子王の祖《エンシェント・ワン》と呼ばれていた頃の話し。
力無き唯人《ノルマーレ》が神の時代、神話として語り継ぐ話し。
一つの舞扇《ab-Minhar-ab-Dajajah》が王《エンシェント・ワン》へと献上された。
それは美しく、また力在る存在で。
その力の源は埋め込まれた二つの宝石。
それは無色透明でありながら、光を受けて輝く様はまるで空に浮かぶ太陽を、月を体現したかの様に。
時に苛烈に、時に穏やかに輝く不思議な宝石であった。]
また、つまんねぇもんを贈ってきたもんだな。
俺はこんなもんより鮮やかな宝石のが好みなんだがなぁ?
[しかし王《エンシェント・ワン》にとって力とは自身の事であり。
輝く様は美しくとも物足りず。
くだらないものを見るように舞扇《ab-Minhar-ab-Dajajah》を眺めた後、それを配下の者へと投げ渡す。]
(283) 2013/05/28(Tue) 20時半頃