[カップに直に口を付けてスープを飲み干し、サラダの器の最期の葉で底のドレッシングを掬って、食べ終える。喧しい音こそ立てないけれど、マナーはお構いなしの自由気儘な食事風景]
此処に来る前、血液検査をされなかったかい?
俺の頃はされてなァ、その後に…生憎ともう10年近く前で、小難しい詳しい説明は覚えていないが、まぁ、適正だとか能力だとか諸々の検査の後に因子持ちだと告げられた訳だ。
只の餌では消耗品だ、そうでは無く吸血種になる事が出来ると。
[パンケーキの皿の上をぺろりと平らげて、最後の林檎の兎を引っ繰り返して、フォークを突き立てる。人形劇でもするように彼の方を向かせた林檎を揺らしながら、そこで初めて、彼の顔を伺い見る、この先に紡ぐ言葉への、彼の反応を見逃さない様に]
俺には、吸血種が化け物であるという認識は無かったし、今も無い。
俺にとっては、人の中で、少々特殊な体質を持つ者の総称であるという認識でしかない。
生きる為に血液を摂取する必要がある、大きく変化した事はそれだけだ。
病を持ち、薬を必要とするようになった、それと何の違いがある?
(283) 2014/02/01(Sat) 17時半頃