[ひとりぼっちになってしまったらなんて
そんな不安が、つらさといたさと、くるしさと共に
あることを、右手を通して知るまでは。>>245
心配する声に返ってきたデメテルの笑顔はぎこちなくて、
けれど、私も同じような顔をしていたと思うから
だいじょうぶ、と言う言葉に頷いて、呼吸が整うのを待った。
私を気遣ってくれたのだろう笑顔が嬉しかったけれど
林檎を取ることをもう一回挑戦してみるかいと
言ってあげることは授業のときのようにはできなくて。
もう10歳になって去年よりもおねえさんになったはずの
デメテルを落ち込ませてしまったようだった。
だから、私が少女に教えてもらった花の蜜の味を思い出して、
重ねた約束のひとつを叶えたら元気になってくれるだろうかと
―それは私のためでもあったのだけれど―
左手を繋いでデメテルの特別に好きだと言った花の場所へ。]
(283) 2016/10/10(Mon) 17時半頃