他に出来る事があれば…。
[かと言って、他に出来ることがあるわけでもなく、ここでこうして自分の出来ることを活かすしか術はなく。
どうしても女性では出来ることが限られてしまうのだ。
溜め息をつきながらも、いいお客さんに出会えることは幸運だと思うことにしている。
自分はそんな人たちに生かされているのだとも。]
いけない…、今は笑顔でいなきゃ。
[ちゃんとしたお店ではないが、接客するという部分では、他と変わりはしない。
それなのに、溜め息をつくだなんて、よくないことだと大きく首を左右に振った後は笑顔を作る。
『笑顔でいれば、きっといいことはおとずれるから』
小さい頃の記憶。両親がまだ小さかった私に言った台詞だ。
なぜかこの言葉だけは忘れられない。その言葉が、両親の形見になっているのかもしれない。]
うん、笑顔でいなくちゃ。
(282) 2014/01/19(Sun) 21時半頃