雪ちゃん誕生日だろ。やる。
[折れたのは5月5日。所謂こどもの日。
彼の誕生日でないことくらい分かってはいたが、そんな月まで焦らすのも可哀想だったから。
それに理由なしで何かやるのは少々照れ臭かった。
実はあの時以来、態と誕生日を忘れては尋ねるフリをしている。
彼の我儘を叶えてやることで素直に親に強請れない自分の気持ちを昇華していたのかもしれないし、先程挙げた理由の一つも含まれているだろう。
でも存外彼が手首を彩っている革製の輪っかに少しだけいい気分をしていたのは秘密。
だから昨日遊んだ時に見えなくなったその一部に引っかかりを覚えて“雪ちゃん”なんて彼を呼んだ。
根元に括り付けられた感情なんて自覚しないまま。
だから再び強請られても快諾したのは、恐らくそういった理由なき理由。
顔を逸らされても>>258今は特に気にならず、曖昧に口元を緩めた。]
(282) 2015/04/01(Wed) 15時頃