[そのまま教室で待機していれば、戻った人から「購買がなくなっている」という報告があっただろうか。
それをよそに、あたしは元の笑顔をどうにか取り繕って、>>269どこか不安そうに見える篤人くんに近付く。]
篤人くん、どうしたの?
元気出して。
[彼の背中に近付いて、安心させるようにぽんぽんと優しく叩く。
そして剥き出しの両耳をおもむろに掴んで、指先でこねた。
短髪男子の冷えがちな耳は、マッサージを仕掛けるのにちょうどいい。
尤も、不意打ちでやられた篤人くんの心境は推して知るべし。
――ごめんね。篤人くん。
不安で仕方ないのはあたしも同じなのに、篤人くんを励ますことで、それを隠そうとしてるだけなんだ。
篤人くんといえば、文化祭での映画作品は、彼の書いた脚本が土台になったことが印象に残ってる。
それを原案にみんなで意見を出し合って、1本のミステリにまとまったんだ。>>0:238
ああでもない、こうでもないと、いろいろ呟きながら試行錯誤していたところ>>0:0>>1:0を見てこっそり応援していた。]
(281) 2015/07/07(Tue) 15時頃