―疾走中―
[エリアスと繭身と別れ、疾走するのは商店街。
何かに駆られるように駆け抜ける姿は、いつもの光景。
商店街の人々はまた、右腕が疼き始めたのだろうと気にもしない。
バタバタと黒のコートを棚引かせ、八百屋の前を通り過ぎ、
駅前の募金活動に勤しむ少年少女に先ほどの釣銭叩きつけて、目指すは一路。
目先で途切れる道は、急斜面を下る階段だ。
まるで自分を試されているような気さえする。
しかし、ここで脅えて踏み止まっては
光と闇を背負い転生した能力者として覚醒できる筈もない。(と言う設定。)
鐘を打ち鳴らすように、境界線ごと飛び越えるように、階段の最上段から――――フライハイ。
ああ、世界が逆しまだ。悲しみの泥濘目指して墜ちていく。
失墜の果てに見えたのは、『いつもニコニコ笑点書店』の看板。
とってもアットホーム。]
(279) 2013/12/05(Thu) 21時半頃