さて、どうかしら
私なんかよりも舌が達者な方なんて
探せばたくさん居そうよ?
[私の口八丁なんて可愛いものだ。世の中にはもっと、口先だけで人を惑わすものがいる。商売にせよ、恋路にせよ、器用な人はもっとスマートに迅速に、人の心を掴むだろう
振り返る先、感じるのは、毛先から頭皮へ伝わるかすかな揺れ。瞳を細め相手を見やれば、すぐさまに言葉を繋ぐ彼を見る。
こんな、闇にも溶けそうな、ただ黒いだけの髪、触れてもなにも楽しくないだろうに]
あら?それなら、
このパーティーが終わってからもあってくださるの?
…… 家のものとしてじゃ、なくてよ
[交わされた一度両手で包んで、首をかしげる。問いかけはほんの好奇心。彼の社交辞令がどこまで続くか、少しだけ試してみたくなったから。
息抜きなのにそんなことして、彼は怒るだろうか]
(278) 2017/01/08(Sun) 21時半頃