―― 雛子サンへ ――
えー あー こほん
[ひとだかりが無くなったら、ゆっくり彼女のもとへ近づいていく。わざとらしい咳ばらいをしたら]
雛子サン、おたんじょうびオメデトウございます
[丁寧に、間違えないように発したお祝いの言葉。
そうして差し出したのは小さな白い箱。]
腕時計です これから、必要になるでしょう?
[大学を卒業してから。今使っているものがあるなら余計だったかしらと不安を抱きつつ。けれど、なにがいいかとウィンドウショッピングしながら目についたその時計が、とても彼女らしくて。
シルバーとピンクゴールドで作られた時計部分と華奢なバングル。ビジネスで付けてもオフで付けても大丈夫なように、派手すぎず甘すぎず。]
まさかこの旅行で あなたの時間をもらえるとは
思ってもみませんでしたが…
[と、はにかみながら言葉を添えて。ああ、頬が熱い。]
(277) 2015/12/13(Sun) 00時半頃