ー 少女にとっての色と声 ー
[ 芸術家の価値はいつだって他者が決めるものです。
どんなに素晴らしく美しい絵でも、他者から価値を
見出されなければ、無名のまま。
良くも悪くも評価は必ず付き纏うものでした。
少女が物心ついた時には、彼女の親類は皆、先祖の
遺産等を巡ってねっとりと暗色の空気を纏っていました同級生や周囲はデュナンの子孫というだけで色眼鏡を
かけた評価をくだしています。
少女は芸術家ではないのに、評価される側だったのです
世の中を知れば知るほど、少女は自らの色が失われるような気がしていました。(成長するに従ってお転婆が鳴りを潜めたのと同様にです)
色は、色でしかありません。そこに良いも悪いもないのですが、それでも色によって与える印象が異なるように、綺麗な色でも混ざりあえばやがて黒になります。]
いつかわたしもまっくろになるのかしら?
[ 親類達を見つめる表情は、既に暗い色でした。]
(277) 2016/07/28(Thu) 19時頃