[まっすぐと見つめる顔を見ればその瞳に揺らぎはなく。覚悟を決めた表情で。嫌だ、離れたくない。せめて一緒に…そう言いかけた言葉を遮るようにポンと頭に手を置かれた]
『…最期のお願い、になるかもしれないんだ。聞いてくれないか?大丈夫。イイ子にしてたらちゃんと戻ってくる』
[自分にだけ聞こえるようにそっと耳打ちをして、子供をなだめるようにポンポン、と頭を軽く叩く。沈黙を肯定ととった彼はそのまま、数人のメンバーを連れ奥の部屋へ。頭に残った手の温もりは段々と薄れてきた。嫌な胸騒ぎがする。けれども、彼の覚悟を受け継ぐのであれば気丈に振舞おう。例え、それがただの虚勢であったとしても。それが、今、彼にできる唯一のことだと自分に言い聞かせ。--決死の作戦に挑んだ彼が死体で発見されたという情報が入ったのは、それから数日後のことであった**]
-回想終了-
(275) 2013/07/21(Sun) 18時頃