[あっ、ヤバっ、落ちる――
絶対落ちる。また病院かなぁ…。
なんて諦めかけてたその時、だれかが後ろから自分を支えてくれた。
それが、「入間祐次」。
はじめはとっさに入間くんって呼んで怒られたかな。
ゆうちゃん、って呼んだらどうだったんだっけ。
――その次の教室移動の時から、移動距離が長ければ長いほど、1人で教室を出ようとすると声をかけられて、一緒に始業のチャイムに遅刻したっけ。
少しずつ早く動けるようになって、教室移動で遅刻しなくなって、杖が1本になっても、学校からの帰り道の途中までだったり、校外学習だったり、それなりの確率で一緒に歩くことが多かった。明るいあの子の周りには、いつも仲の良さそうな子がたくさんいたのに。
でも、この子がいなければ、「みかみ はるか」は、今でも入学当初の、まるで能面のような無表情、無感情のまま、だったかもしれない。]*
(274) 2017/09/21(Thu) 22時半頃