[吐き捨てるような返答に、秋野は歩みを止める。>>260
那由多が口にしたのは、それなりに名の知れた大学だ。
残念ながら、今の秋野の成績ではとても目指せない程度には、偏差値は高かった筈。
普通なら「すごいね、頑張って」で済ませられるような大学だった。
──普通なら。]
……那由多は、それでいいの?
[瞬きもせずに、じっと彼を見据えて問う。
たぶん、いつもの秋野より、ずっと静かな声が出た。
中学の頃、那由多が「動物園の飼育員になりたい」と言っていたのを思い出す。>>261
確かに、高校に入ってから、那由多の口からそれを聞いたことはなかったけれど。
少しの沈黙。その間に、那由多は何か反応を示しただろうか。]
那由多がいいなら、いーけど。
[ぷつん、と。
つい先ほどの声から一転。
空気を変えるように、軽く、話を終わらせる。]
(274) 2015/06/23(Tue) 21時半頃