―かつて、購買があった場所へ―
[購買に一緒に行くと言ったのは、郁だけだったろうか?ほかにも行く人がいたら、連れ添って購買までやってくる。しかしいつもなら、気のいいおばちゃんが笑顔で売っているパンや紙パックのジュースが見当たらない。人はもちろん、その場所自体が存在していなかったかのように、まっさらな壁になっていたのだ]
あ、あれ?おっかしいな、俺、道、間違えた?
ここ、なんかなかったっけ?
俺の勘違い?
[そう言って、購買のあった場所の壁をぺたぺたと触る。そこに、隠し部屋があるのではないかと確かめるように。しかし忍者屋敷のような回転扉は出てこないし、笑顔のおばちゃんも出てこなかった。
まさか、自分が知らない間に改修工事でもしていたのだろうか。いや、そんなはずない。そんなこと、どこにも書かれていなかったはずだ]
(273) 2015/07/07(Tue) 11時半頃