[からん、ころん。
軽い下駄の音は淑女にしては喧嘩っ早い彼女を向くと、青年は見るだけなら見慣れたものを取り出した。>>45
尋ねるのは此の、けーたい、と皆の呼ぶものの操作の仕方、であった。
仮に。
若し先生が、先んじて青年に尋ねるという選択を取っていたとしても恐らくこの質問は変わるまい。
何せ、青年自身、如何してメールの本文画面が開いていたのか知らなかったのだから。
偶然の産物、ポップアップされた通知のタブを知らず触れていた事などは、当然分かっていない。
故に、先生が説明を受けるのを聞きながら、辿々しく扱っていたのは同じくだった。
だが、その先生の言う「優しい」には首を僅かに捻ると少し考えるようにしながら口を開いた。>>137]
そう… だろうか、
先の狼を襲わせてきた辺り、優しいのか…?
[もう1つ聞けるというのを、青年に振る先生を困ったように見遣ってから、如何しようかと悩んだ挙句は。]
(272) 2017/06/12(Mon) 03時半頃