―千年の昔―
……どこから迷い込んできたのだ。貴殿。
[滅多に生き物の訪れることのない空の庭園。
やってきた小さな命と会話したものの、要領を得なかった。
要約すると、さらに上空から来た者らしい。]
我は使命があるから、貴殿とは遊べぬぞ。
[だが、その生命は、他に行く宛もなかったのか、天にそのまま住み着いた。素っ気ない態度――それしか知らなかった――で接しても、向こうは気にしていない様子だった。]
……貴殿、名はあるのか?ないのか。
ならば、ハツユキカズラ……で、良いか。
[単に知っている植物の名前をつけてみた。
長いので、呼ぶ時はもっぱら略称だったが。
最初に見た者を親だと思い込んだのか、ハツユキカズラは《ソラ》の守護者を父親を呼ぶ時の呼称で呼んだ。雷神は呼び名にこだわりがなく、訂正はしなかった。過ごした時間は、雷神にとっては短い期間。
大戦が始まり、雷神はすぐに《ソラ》の守護者として、戦場へと降りていった。「ハツ」に別れの挨拶すらせずに。*]
(265) 2014/11/16(Sun) 22時半頃