――回想 本部にて――
[幹部となって直接部下たちに指導をする時間が減っても、朧の来訪をJが断る事はなかった。
部下の異能の適性や使っている武器の弱点などを伝え研究に活かして貰うという仕事の為だけではなく。
余裕がなかったとはいえ、兄弟と「分け隔てて」育ててしまった罪悪感のようなものを埋めるという自分勝手な目的もあった。
静かに茶を飲んで時を過ごす間、埋まっていたのはJだけで。
朧を埋めてやれなかった>>222事には終ぞ気づかないまま。]
――そうか、
[出自を突き止めたと明かした朧>>235に短くそう返す。
組織にはそういう出自の者も一定数いる。
寧ろ何の血も因縁もなく強い異能を持つ只人の方が珍しいかもしれない。
孤児が只人であれ魔の血を引く者であれ、組織に属して魔に対する気があるのなら、除名などにはしないだろう。]
朧の淹れる茶は美味いな。
[それ以上朧が何も言わないならば、Jもそれについて何も言わない。
ただ、「朧」という人間が「持つもの」を認め、マグカップの中身を飲み干した。*]
(261) 2016/06/05(Sun) 11時頃