[ 再び感じる、肉を断つ感覚>>248。
心臓を狙うことができなかったのは、彼の妹のことを知っていたからか。
斬られて初めに櫛屋が零した言葉には胸が詰まる思いで「どうだろうな」と答えることしか出来なかった。 ]
…? それは、どういう?
[ こちらの思考を完全に読んだ問いかけに、ただ黙ってしゃがみ込み、視線を近づける。
『僕の生存は、僕の勝利に必要ない』
何度頭で反芻しても、それが何故なのかわからず顔を顰める。生存しなければ、勝利者にはなれないではないか─── ]
…妹を取り戻すのが、
キミの願い……か
[ 出会った時から向けられていた不敵な笑みとは違う、優しい笑み>>250と放たれた妹への強い想い。初めて人を手にかけたが、その相手に胸を痛めるのは可笑しなことなのだろうか。
──彼は、死して妹に近づくことで報われるのだろうか。 ]
…悪いな
[ 最期まで皮肉をたれる櫛屋>>250>>252に、今はもう、不快感も怒りも感じることはなかった。耳につく笑い声を、彼のその声が途切れるまで、ただただ静かに──まるで、先程の彼の能力にかかったかのように動かず聞いていた。* ]
(260) 2014/12/12(Fri) 02時頃