95 天国に一番近い島


【人】 若者 テッド

-回想・数日前・某所-

『テッド、お前に休暇をやろう』

[ゾーイ・プロフェットは195センチの大男が座ってもあまりある革張りの椅子に腰かけながら、テッドに笑いかけた。
それはあまりにも年不相応ないやらしい笑み。]

……休暇ってどういうことだよ。

『なに、天国に一番近い島、リゾート地へお前を招待してやろうと思ってな。
海はいいぞ、ピチピチのダイナマイトボディギャルが大勢いる。
空気も美味いし、何より我々が忘れかけている世俗の汚さを再認識させてくれる。
雑多な日常に一旦別れを告げ、平穏な時が流れる島にたまには赴くのも悪くはないと思うんだが。どうだろう?』

[言葉に似合わぬくりくりとしたどんぐり眼が、最大級の皮肉を湛えてこちらを見ている。
いい加減この手のやり取りにはうんざりしていたテッドだった。]

アンタの胡散臭い口上はどうでもいいよ。
どーせまた俺のことを小間使いとして危険なところへ送り込む気でしょ、分かってるよ。
アンタの命令で密林の奥地に殺人ウィルスを採取しに行かされたり、服役中の囚人から猛毒のカプセルを極秘裏に奪取したりなんて日常茶飯事だ。

(260) 2013/09/04(Wed) 21時頃

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