―201X年秋頃―
[中学の時の悪友がバイクで事故に遭ったと連絡があったのはまだ夏の暑さの残るある日。
慌てて病院へ向かい病室に駆け込んだら、身体には点滴の管や酸素吸入器などが繋がれていて痛々しいながらも、ベッドに身体起こしてそれなりに元気な友人の姿。
なんだ、重傷だけどまた遊べるじゃん。
少年はそんな事言って笑って病室を出た。
そして悪友の家族に聞かされたのは少年を絶望させるに十分すぎる話し。
見た目に元気に見えても、車と衝突した時に挟まれ放り投げられた衝撃で彼の内臓は破裂してもう手の施しようがないこと。
もって2週間。それを本人も知っている事。
忙しいと思うけれど出来るだけ顔見せて上げて頂戴ね、と何度か遊びに行った時、いつも柔和に歓迎してくれた彼の母親の言葉に、少年はただ頷くことしか出来なかった。
それから毎日、学校が終わると彼の病室を訪れた。この時ほど自分が帰宅部であった事を感謝したことはない。
日に日に弱っていく彼を見るのは辛かったけどそんな事はおくびにも出さずに]
(260) 2015/03/30(Mon) 12時頃