ユキヒトさん、……ユキヒトさん。
[ぱたぱた、手ぶらの身体を走らせて後に続こうとしながら。
途中、ロビーに寄って望遠鏡>>0:228を回収したりもしただろうか。
いまだろくに仕事じみた仕事もしていないから、多少なりとも張り切ってはいる。]
……あのさあ、
[水彩を滲ませたように広がってくる夜の闇をちらりと見上げながら、吐き出した息が白く広がって、そうして思い出すのは紫煙の香り。
自分とは、違う銘柄の。
回収してきたライトで石動の手元を照らそうとしながら、対照的に暗く思える視界で、彼の表情を伺うことはできたか。
どこか異質に思えた部屋の中の、何を把握していた訳でもないけれど。
ぐるぐる巡った言葉を整理しようとしては、]
…ライター、貸してもらったんだよね。
[選び出したのは、些か的外れなひとこと。
誰を指したともとれない言葉は──だけれど嫌煙の時世、相手はそれなりに、限られるはず。]**
(259) 2015/11/13(Fri) 20時頃