"マスター"しかいない、と思うから「そう」なるんだろ、きっと。
長く生きて、周りは死んで。
自分を保つのに"マスター"の存在だけが拠り所になるんじゃねぇのか。
[寝台の上には既に「傍ら」を奪うように大型犬が乗りかかっていた。
普段は男にも愛想の良い犬が、主人の喉の渇きを訴える呟きを聞いたからか、引きはがそうとぐいぐい圧をかけてくる。]
アオくん、俺は、さ。
美味いモン食うのも、それをつくんのも好きで。
ガラスに向き合ってる時は幸せで。
新刊が楽しみな吸血鬼作家もいて、映画だってまだまだ観足りない。
大事なモンが既にいっぱいあって、長生きしたい欲だけは人一倍あるし、そう簡単には死なねぇよ?
[話す内にモモの敵意が大きくなるのを感じる。
あまり食い下がるのもマズいかなと思いつつ、隣で一晩過ごしたからか、或いは昨晩の酒が抜けきっていないのか、いつもよりも踏み込んでしまった。
そうしないからこそ、今まで許されていたというのは内心で察していたというのに。>>252]
(259) 2019/10/06(Sun) 15時頃