―― 随分と昔の話 ――
[11年も前の事だ。
その頃、自分は大学に進学しながら自警団の仕事も始めていた。
知者であったわけではない。
ただ直向きであっただけの自分は寝る間を削って知を求め、情報を得るのに適した地位を求めていた。
高過ぎる地位はキングスとの交流もあるであろうし、そこまでは求めてはいなかった。
丁度良いのが自警団、人に触れ、市井の情報を多く耳にできる仕事。
仕事を始めて幾分かした頃、一人で見回りをしていた時があった。
公園を歩き、その頃に>>208既に像が完成していたら見上げては心の内でいつか煮込んでやろうと決意を新たにしていた。
そんな折に聞えたのは>>234少女の声だ。
少女は声を押し殺していたのだろうか。
ひっそりとした泣き声は幼き日の自分を思い出すかのようであった。
自分は頭を掻く。
そうした声は苦手だった。
自分が自分として立っていなかった時の恥ずかしい過去を思い出してしまう。
泣いて、叫んで、それしか出来なかった頃のことなのだ]
(257) 2018/11/26(Mon) 03時頃