[そして吸血鬼作家「ジャーディン・ヴィラドメア」の本は高さと薄さの異なるものが本棚の多くの面積を占めていた。そのことを知っているアオが手紙を読んで思案していたことまでは知らないが。>>100
男は眷属となる前から吸血鬼作家の存在を認知していて、同人誌の「主人公」の物語がどのように閉じるのかが気になるというのを長生きしたい理由のひとつに挙げていたが、彼自身に自分を眷属にしろとアオにしたように迫ったことはない。読んでいてその奥の「筆者」の人となりが気になったのは後にも先にもアオだけだ。
そもそも著作を読めば彼の「美学」は髭面の屈強な男を噛むことを許しはしないだろうというのは容易に推察できるのだがそれはまた別の話。
何十冊目からか登場している細身の少女を愛でる吸血鬼の物語は実に生き生きとした筆致で描かれ、読んでいて微笑ましい。吸血鬼のステレオタイプを意識している節のある彼がSUSHIを食べるというのには驚いて、思わず自分も夕食にちらし寿司を出して(調子に乗ってサーモンで薔薇をつくった)、話のネタにしたものだ。*]
(256) 2019/10/09(Wed) 20時半頃