………、そうだ。
ひとつ、頼みというか……が、あるんだ。
[けれど、そのまま無言の時間が続くのはあまりにも居た堪れない。貴方の顔は正直怖くて怖くて見るに見れなかったけれど、無理矢理首を持ち上げて目を、合わせる。
しかし視線は、どうしても泳いでしまったから。
どうにか落ち着く場所を探せば、辿り着いたのは貴方の右耳に光る、紫の石。]
スノウフェアリーを次の話のネタに、とそう言っていたが。
出来れば細かい内容は、秘密にしておいてくれないか。
――……出来上がった時に、楽しみにしたくて。
[貴方の絵本の話をする時は、少しだけ表情が和らいでしまう。
緊張は消えないものの、目元を僅かに弛ませれば視線の先は紫から、青の色へと。
そうして、重ねた手のうちのひとつをそっと持ち上げて。
少しだけ戯けたように、人差し指を一本立てて自らの唇へと当てて見せた――もしもまだ手を握れていたなら、そろそろ離さなければと考えながら。]
(254) 2015/11/21(Sat) 17時頃