………、長い間、車に乗って少し疲れたから。
貴方が嫌じゃあ無いのなら……、もう少し俺も、ここで休憩していたいんだが。
――………駄目かな。
[あぁ、何て不自然。
これじゃあ流石に、"友人" の距離とは思って貰えないんじゃあ無いだろうか。
だってそうだろう?
ただの友人はきっと、ベッドの隣に座って手を握ったりなんて、しないだろうから。
だがもう一度言おう、貴方はさっき俺の手を "あったかい" と、そう言った。
それは即ち――少なくとも俺の手に触れるのが嫌では無かったと、そういう事だろう?
幸か不幸か、思い詰めるくせに妙に楽観的な所があるから。
希望の欠片を拾い集めるのは、きっときっと上手な方――もちろん、その隣は不安の欠片も散らばるけれど。今は少しだけ、見ない振りを。
渡した手袋を付けるように促すべきだったのかもしれない。
けれど先程の貴方の反応は、その手袋を付ける事が気が進まないように、思えたから。
だからせめて、その指先が温まるまで。"悪かった"、とあたかも詫びのつもりのような振りをして、貴方の手を握っていても、良いだろうか。]
(253) 2015/11/21(Sat) 17時頃