………………、
[言葉は、出ない。
きっと暖かいと思っていた貴方の手は、血の気が失せていそうな程に冷たいもの。
重ねられた手に緊張する余裕も、謝罪と共に離される手を名残惜しげに見る余裕も、無く。
そうしてついには渡したカイロを取り出して、冷たいその手をそろそろ熱も失いかけているだろうそれに擦り合わせる様>>231に、情け無くも眉が下がった。]
( ――……あぁ。
やっぱり、……好きだなぁ )
[こみ上げるのは、そんな気持ち。
申し訳無いだとか、余程寒かったのだろうとか。そんなものより真っ先に浮かんだ言葉が、これ。
こんなにも指が冷えていただなんて、知らなかった。
寒さのせいか、体調のせいか。きっと両方なのだろうが、それでも手袋を返せとは言わなかった貴方に、さらに眉が下がってしまう。
しかもそうして、冷たい手を誤魔化すように必死にカイロを握り締めて――貴方はさっき、俺の手を握って "あったかい" とそう言った、癖に。]
(251) 2015/11/21(Sat) 17時頃