―201X年夏の話し―
[元々少年にはあまり節操ががない。
“女の子も好きだよー男の子も好きだよー。”
そう公言しては周囲を苦笑させていた。普段の軽い物言いのせいでそれを冗談と取る物も多かったが。
高校生ともなれば性への好奇心はいやでも沸き上がる。女の子との関係はその要望のおかげで不自由しなかった。
とは言え本気の“恋”ではなくただ快楽への興味のみで長続きなどはしなかったが。
問題は“男”の方である。公言したところで本気にされないし、さすがの少年でもクラスメイトや同級生に声をかけるのは躊躇われた。
一部では先輩方の周りでそう言った関係の噂も聞いた事はあったが、後で煩わしいことになるのは面倒という思考と、好奇心だろうか。
適当にスマホで見ていたゲイ向けの出会い系サイトでであった相手と刹那的な関係を好むようになったのは。
だからその時もいつも通り、誰か良い相手いないかなぁなんて気軽なつもりだった。
何度かのメールでのやりとり。どうやら相手は割と行動範囲も離れていないという偶然。
気が合いそうな感触。
『会いませんか』
そんな短い言葉に少年にしては珍しく何かを期待して待ち合わせ場所に向かって――]
(251) 2015/03/30(Mon) 11時頃