―廊下→階段→屋根―
[ 館の屋根の勾配は転がり落ちるほどの角度でもなく、
平らというべくもない程度のものだった。
長居には誂え向きだ。おっさんいい場所見つけた。
地上を煌々と照らす月の光を遮るものもない。
腰を落ち着けて見下ろす地上には何やら庭らしきものが見受けられた。……あれかな、坊ちゃんの言っていた薔薇は。
俺は、花や草は別段大事にしようとも思わないが、美しさを否定もしない。あの薔薇を手入れする庭師はさぞ丁寧な仕事をしているんだろう。
地上に数え切れないほど花開く薔薇はとても美しい。
植物に疎いおっさんにもわかるくらいには。]
よーし、おっさん呑んじゃうぞー
[ 月明かりに薔薇。
折角これほどまでに整えられた素晴らしい環境があるのだから呑まずにはいられまい!
仕舞いこんだ酒やトレイを引っ張り出しながら、
俺は改めて快哉を叫んだのだった。]
(251) 2014/11/02(Sun) 22時頃