[雑音《ノイズ》を成していた周囲の†を見回すと、瞳の乱像《ノイズ》に不快が走る]
あやつの波動《アウラ》のせいで、願いが散逸している。
戻れ。
今の使命は"主を助くること"だ。
[朗々たる声で告げると、無数の十字架がざわめき――黒き雑音《ノイズ》に戻り、身体の中に戻っていく。それは、まるで百鬼夜行。
自身の身体から離れた幾百もの廃者達を、ひとつの願い《血》の下に束ね直す。
それでも片眼は赤い乱像《ノイズ》となり、白き拘束衣には、先刻黒槍に抉られた部分が大きく朱に染まっている。さらに†の片翼も、血のような赤になり]
……転移が使えぬ。
[苦虫を噛み潰したような顔で、現状を認めつつ。
空に向かって駆け出した。
その踏みしめた道に、闇の波動《アウラ》を獣道のように残しながら]
[残った大穴は古代聖戦跡地《グエリアス・マーク》 のように、破壊を湛えて静寂を保つ。
ただ唯一、聖杯《カリス》を砕いた†の蒼き光が、何かを訴えるように天上へと伸び次元を越える。
聖杯《カリス》の産まれた地――叡刻大図書館《イントリアイム・ライブラリー》へと**]
(250) 2013/05/28(Tue) 07時半頃