─ 2階:図書室 ─
[廊下の奥。]
[岩動 呉は、優等生だけれど、
図書室に顔を出すのは、レポートがあるときくらい。
図書室独特の静かさが好きじゃあなくて、特に、本も読まないし、借りたら教室にもどるのが、常で。
遠野雛子にもまた、あんまり似合う場所には思えませんでした。
勝手な、想像でしょうか。
文化祭の雰囲気に飾り付けられた図書室。たしか、文化祭では古本市をやっていた筈だった。普段の本棚にはすずらんテープが掛けられて、一般の人が取り出せないように成っている。
装飾こそ、派手なのに。
司書の先生がいるはずのカウンターや室内はがらんどうで、
人の気配ひとつ、なく。
特別コーナーって括られた箱の、古本のなかから一冊適当に掴むと、意味なくぺらぺら、捲ってみて。
──やっぱ、夢じゃあ、ないんだなあ。
知らない筈の本のなかみが、其処には明確に印されていて、どのページにもちゃんと内容があったので、岩動 呉はふぅ、って。
ため息一つ。]
(250) 2015/11/02(Mon) 10時半頃