[少年は、青年となり。
手先の器用さが高じて職人の道を選べば、父の仕事からますます遠ざかった。
とはいえ、血縁関係は切って離すことなどできず。
少年時代と変わらず辟易することも多かったが、それを通じて知り合うことができた友人も居た。
苦手なものだらけの、偏屈屋。>>148
髪の色も目の色も、顔の造作も違うのに。どこか似てるな、と出会い頭に過ぎったことが始まり。
父の名を知りながら唯一、ただの時計職人として付き合いの続く友人と呼べる相手となった。
青年が職人として一人前の男となってから。
手袋をするようになった出来事があった、後日。
都会の工房を離れて独立すると決めた際、物件の仲介をしてくれた人物でもある。>>220
奇しくも場所は一度だけ訪れた記憶の残る、オリュース市。
仔細を聞くまでもなく即決したのは友人への信頼と。
いつかの空の色を思い出したせいに、他ならない。**]
(250) 2019/07/27(Sat) 17時半頃