[腕時計を検めれば、どうにも中途半端な時間。次の仕事先は午後からだ、今から行くには早すぎる。
指折り数えたのは手持ちの作業。目下必要なのは食事、次点は私用だろう、食材の補充と──]
……インクと茶葉、
予備が無くなったな、
[その時ばかりは足を止めて、一言。
次の一歩は、先刻と30°ばかり逸れている。爪先の延長線上に敢えて視線を遣らずとも、その先にとある薬屋>>16があることを、学生時代から通ったセイルズはよく知っていた。四年前までは眠気防止薬・カモミール・ミントの三種を、四年前からはミントのみを、まとめて買うのがそこだった]
[店主が手を尽くして品を揃えようと、淡々と決めたものだけ買い続ける男が、二人の店主にとって良い客かどうか知る由もないが。
こうして突然の来訪をしても、もう長いこと、入荷待ちの宣言を返されていないように思う]
(250) 2018/11/26(Mon) 02時半頃