──回想:文化祭準備の時の話・その後──
[しずくの説明を聞いているうちに、背後から素っ頓狂な悲鳴があがって、振り向く。>>194
先程の男子生徒が、椅子を蹴倒さんばかりの勢いでびびりながら、見つめる視線の先に帆北がいた。
ああ、と声を上げる。
先ほど、作りかけの衣装を帆北に合わせてみるというので「じゃあ、メイクの練習台になってよ」とそれらしく恐ろしげなメイクを施したばかりだった。
半ば無理やり練習に付き合わされた帆北の、どこか不愛想めいた顔がその時何を思っていたのかは分からない。
ただ、案外にそれっぽく仕上がったのは、意外で、そして満足な結果だった。
メイクの参考資料を探したいのだと恵冬にお願いして、資料になる本を一緒に探してもらったのも、功を奏したのかもしれない。
それから、実家が美容院だということで、何かと相談をしていた七尾朱美のおかげでも、きっとある。]
(249) 2015/06/18(Thu) 23時半頃