[白い指が鍵盤の上を踊るも、響く音はない。正確に言うなら―人間に聞こえる音は、なにもない。すでに人でなくなった者、屋敷の主人に忠誠を誓う者、その手に触れ、あるいは力を受けた者ならば―その音色を感じることは出来るかもしれず。静かで哀愁を帯びた旋律は聞こえる者の心を捕らえ、魅了する。狂気を帯びた黒犬が伏せっているのは、その音色に心を捕らわれているからに他ならない]
(247) 2012/12/12(Wed) 12時半頃